「赤いルビーは、剣についていないし、目玉にあった青いサファイアもない。なにより、王子の金箔が、すっかり剥げちまってる。これじゃあ、物乞いと変らないじゃないか、ええ?」と知事がいえば、議員は全員で「物乞いとかわらないじゃないか」と唱和するのでした
「王子の足元をみろ、鳥の死骸まである始末だ」と知事が続けると、「鳥は彫像の足元で死ぬこと罷まかりならぬと、お触ふれを出しましょう」と都庁書記が知事の意向を文書に記録します
役人たちの命令で王子の彫像はひきずり下ろされました。「美を失ったものは、用なしだ」と大学の美学教授がのたまいます
彫像は溶鉱炉に放り込まれました。知事は残った金属をどうするか、それを決める会議を招集します
この記事へのコメントはありません。