所長略歴

所長略歴

利川嘉明(としかわ よしあき) 昭和41年 大阪生

昭和60年 大阪府立高津高等学校 卒業
平成4年 東京大学法学部 卒業
平成19年 神戸大学医学部 卒業
平成19-21年 山本組合総合病院
(現 能代厚生医療センター)初期臨床研修修了

平成21-22年 沼津中央病院
精神科救急医療に従事

平成22-27年 山本組合総合病院 精神科医員
平成28-30年3月 栄仁会 新田辺診療所 勤務

日本精神神経学会員
精神保健指定医

 

ごあいさつ

平成30年8月17日


私は中京東部医師会にぞくしておるのですが、ことしの新年会にお呼ばれをして、昨年の開業日(2017年51日)からの受診患者数が1060人だとお伝えしましたら、席上どよめきが起きました。だいぶ多かったようなんですな。
3月末だかには保険医協会の人に、これまで何人きたかと問われて大方1500人ほどだと伝えましたら、そんな診療所聞いたことないと仰天されまして、ふうんそんなものかと。

2018年430日までの一年間で結局、1630人に上りました。ひとえに皆様のおかげです。たまに年寄の患者さんが来られて、「ここはずいぶん若い人が多ございますねえ」と感想を漏らされることもしばしばです。なるほど、年寄は来ません。全体の3パーセントほどです。

私は長く秋田で医者をしておりまして、来る日も来る日もアルツハイマー病のおじいさんおばあさんの相手をしておったわけでありますが、あの日々がいまは実に懐かしいです。私はご老人が大好きなのです。しかし、いまは20代の人ばかり、これが全体の半分も占めております。20代の女性ときたら実に32パーセントです。40代迄で全体の9割を占めております。弊院はまったく以て若い人の診療所といえましょう。

もっとも、心療内科とか精神科とは、もともとそういう場所だったわけですがね。老人なんていなかった。精神科は「青春の科」だったわけですよ。烏丸せつ子が主演した『四季・奈津子』を一度ごらんなさい。昔は分裂病(統合失調症)のわかものが多かったわけですが、いまは発達特性のわかものばかりです。AS(自閉スペクトラム)とかADHD(注意欠陥多動症)とか「発達障害」という言葉がありますが、「障害」とか言っていたら、追っつかないぐらい、そういうわかものは多いわけなんですね。だから、私はいつからか「発達特性」って呼んでます。「障害」って聞かされたら、ショックを受ける人もおりますでねえ。じつはこれも昔から多かったんですよ、ほんとうは。文献をようく調べるとすぐにそうとわかります。ただ、昔はそういう人は受診したくても、受診できる場所がなかった。できるのはわづかに大学の保健管理センターくらいで、精神科病院ではもちろん、大学病院も相手にしなかった。

「おまいさんは病気じゃないよ、健康なんだからこんなところに寄るんじゃない」って言われて、たたき出されてね。総じて日本の精神科医は「精神病」だけ診て、「神経症」は診なかったわけだけど、おかげで医者の臨床能力は地の底まで落ちちゃった。精神科医は、アメリカ産のDSMとかいう「診断基準」とにらめっこをするばかりで眼前の患者さんをじぶん自身の目で見て感じて診断することができなくなってしまった。

その点、私は当てますよ。患者さんの性格を。あなたはこういう人でしょ、他にもこういうところがある、ああいうところもあるでしょう?って訊いて、ひとつひとつ確認します。そうしたら、皆さん必ず言いますね。「先生はなんでそこまで私のことがすぐにわかるんだ?」って。() これはひとえに開業したこの立地のおかげですね。

京都は学生さんのまち。アクセス至便の京都のまんまんなか、からすま御池と四条のあいだの蛸薬師で、来る日も来る日も、秋田と同じで毎日まいにち診てたら、顔を見ただけで即座に患者さんの人となりがわかるようになってしまったというわけです。他にタネもしかけもありません。

厭世主義の私は、ブログを「花鳥風月」と題して、「桜かざして今日もくらした」みたいな浮世離れした風雅なことだけ書くようにしてきましたが、もっと病院らしく、病気の話も、興味ぶかく皆さんに読んでいただけるようなページを作りなさいという声があり、くわしく筆をふるってみたわけです(病気の説明ページをごらんください)。

サテ、玄関や診療所の要所要所に生けてある花は、わたしが毎朝、からすま六角にある花市さんで買って用意してセッティングしてあるものとはお気づきでしょうか? をんなのすなる生花てふものを、をとこもしてみむとて、するなり。…という感じで男の私がやってます。そんなものには目もくれない方も、診察室で、イームズのラウンジチェアーに座ると、さすがに気づいてくださいます。おお、この椅子はなんてフカフカなんだ! とね。所長の私が座る椅子の8倍のねだんがするんです。そりゃあ、そうでしょう。しかし、患者さんのそんな驚きの顔を見るのが私のひそやかな楽しみ。

「ひとり、ひとりの違いを、たいせつに」。これからも、うつくしい室内で、丁寧な診療を続けてまいりたいと存じますので、みなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。

所長 利川 嘉明 敬白

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