The Nightingale and the Rose(12)

しかし、棘とげの先は心臓に届いてはまだおりませんから、薔薇の芯は白いままです。ナイチンゲールの心臓を流れる鮮血でなければ、薔薇の芯は深紅に染まりません

しかし、薔薇の木は、もっとからだを棘に押しこめと、おそろしい声で、ナイチンゲールに命令します。「もっとからだ全体を棘に押し込むのだ。さもないと、赤い薔薇の完成を見ないうちに、日が昇りきってしまうぞ」

ナイチンゲールは、言われた通り、からだを棘に押し込みました。棘の先端が心臓にふれるや、燃えつくような痛みがナイチンゲールのからだをギュンと射抜きました。灼熱の責苦に喘あえぐナイチンゲールの歌は阿鼻叫喚の絶頂に達しました。今や、ナイチンゲールの歌う愛の歌は、死によって完成を遂げる愛、霊廟の中でも生き続ける愛の歌なのです

世にもうつくしい薔薇は、日の昇る東の空に咲く薔薇のごとく、真紅にそまりました。花芯を取巻き覆う花びらの紅きこと、又、花芯の赤はルビーのような深い色味を湛えています

Love that is perfected by Death, of the Love that dies not in the tomb. 具体的には『ロメオとジュリエット』のふたりが遂げた愛のすがたを指すのだろう。この物語では、ナイチンゲールが学生にたいして示した愛の自己犠牲がこれに該あたろう

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