The Happy Prince(11)

ツバメはピョンと室内に入るや、ルビーの大玉を、卓テーブルの上、お針子の指ぬきの傍に置きました。つぎにそっとベットの周りをぐるぐる羽搏ばたいて、男の子の額にすずしい風をおくって遣ります。「ああ、なんとひんやりして、きもちのいいこと」。男の子は微笑みました。「きっとよくなるんだ」。たちまち男の子は黄金のまどろみに包まれていきました

ツバメは無憂の王子のもとに戻り、以上のことを申上げます。「妙な話なんですがね」とツバメ。「なんだか体がぽかぽか、あったかいんですよ。こんなに寒い日だっていうのに」

「そのわけは、ツバメよ、なんじが善事を成就したからだ」と王子。ツバメは王子の言葉の意味がわからないものですから、首をかしげて考え始めたのですが、そのままスルスルと眠りに落ちてしまいました。ツバメは考えごとをするときまって眠くなるのです

夜が明けるや、ツバメは川辺に降り立って、水浴びをしていますと、橋の上から通りすがりにそれを見た鳥類学者が、「稀代の珍事だ」とさけびました。「冬にツバメがいる!」 鳥類学者は、地方新聞に長文の投稿を寄せました

関連記事

  1. The Happy Prince(5)

  2. The Happy Prince(13)

  3. つるときつねとの事

  4. The Happy Prince(1)

  5. The Happy Prince(20)

  6. The Happy Prince(6)

このサイトについて

京都市中京区蛸薬師 四条烏丸駅・烏丸御池駅近くにある心療内科・精神科クリニック「としかわ心の診療所」ウェブサイト。診療所のこと、心の病について、エッセイなど、思いのままに綴っております。
2026年3月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

カテゴリー