軍靴

けふは『カリギュラ』を観てきました。

ローマ帝国第3代皇帝カリギュラの物語。Caligulaといふのは「軍靴」といふ意味で、皇帝の渾名あだな。軍人の父に従ひゲルマニアに野営してゐた頃、軍靴を履いて踊るすがたを大人たちから可愛がられたところから来たものらしい。冒頭のシーンをみると、それと分る。

本名は、シーザーと同じ、ガイウス・ユリウス・カエサル(といって、血は繋がつてゐない)。むかし日本では1980年に公開されたものを、奇蹟的に残されたフィルムから、ポルノ映画まがひの余計なシーンをカットして、「本来の」脚本の筋にしたがつて再編集したらしい。上映時間は、3時間もあるが、全編たいへんに豪華な舞台的演出で、おもしろい。飽きずに楽しめる。俳優はほとんどすべて英国の役者ぞろひ。

カリギュラ役のマルコム・マクダウエルが熱演してゐる。ピーター・オトゥール、ジョン・ギールグッドといつた名優も出てゐるが、この映画は当時、上記の悪評を得てしまつたために、マクダウェルは鬱状態になるやら、オトゥールは製作陣を訴えるぞとか、大騒ぎになつたものらしい。

ピーター・オトゥール(1932-2013)は、『ラスト・エンペラー』で溥儀プー・イーの教育係レジナルド・ジョンストンを演じたり、『冬のライオン』ではヘンリー2世を演じて圧巻であつた人。『冬のライオン』は1968年の古いイギリス映画だが、傑作。若き日のアンソニー・ホプキンス、ティモシー・ダルトンが出て来て吃驚させられる。

この映画では、主演の役者が、ことごとく、薄物だけ羽織つて殆ど半裸状態なのだが、エリザベス・テーラーが出て、これも『カリギュラ』同様、莫大な製作費をむだにかけた『クレオパトラ』(1963年)でも同様で、エリザベス・テーラーはほんたうにエロいのだが、この『カリギュラ』でも、カリギュラと近親相姦関係にある姉を演じたテレサ・アン・サヴォイは、エロい。スクリーンを隔てゝも、肌の熱感が伝はつてくる。

『クィーン』(2006年)でエリザベスII世を演じたヘレン・ミレンも、若き日にこの『カリギュラ』に出てゐたとわかつたが、彼女はもともと裸になるのが好きらしく(ヌーディスト)、別になんの不満もなかつたとか。痩せてゐるかと見えて、じつは豊満だつたのが意外だつたが、あんまりこの人は色気がない。もともと教師をめざして教育大学にゐたぐらゐの人だから、そんなものなのだらう。おなじくふしぎに色気といふものをわたくしには(と言つておく)全く感じさせない女優に、エマ・トンプソンがあるが、あれと同じ匂ひを感じた。

をんなもいろいろである。

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