フト、気まぐれを起こして、箕面に紅葉を見に行きました。みなさん、紅葉といへば京都とか言ひますが、大阪では箕面。谷崎の小説『細雪』でも、雪子らは、猿のゐる箕面に足を運んでゐます。
箕面には、「もみぢの天ぷら」といふ風流なものがあり、小供時代は、こんなの食べられるの? とおどろいたことがありましたが、存外美味かつたことを今に憶えてゐます。たゞし、さいきんは、こんなのを目当てにする人びとが、大の大人も、先を争ひ、仰山列をなすやうになつたので、店先に「売切れ御免」の札がかゝるやうになつたのは、腹立たしいといふより、人間性の低下を目の当たりにするやうで、情けないかぎりです。
それでも、まあ、こんな元気もでるやうになつた自分をこそ、何よりよろこばしいことだと思つて、箕面の滝を見物したあと、帰途につきました。
ちらねどもかねてぞ惜しきもみぢばは今は限りの色と見つれば よみ人しらず 古今・巻五・秋歌下





