Looking for a French Style of Elegance (1)

イギリスには、今なほ、貴族制Aristocracyといふものがあり、なべて旧きを良しとする国なので(なんと素晴らしい国であらうか。ジョン・ブルは頑固なのである)、裁判官や国会議長は、ひつじみたいなカツラをかむつてゐる位だが、フランスは、例のギロチン革命1789年! なんとまだ高々250年程の昔でしかないのである)で、貴族のことごとくが頸を刎ねられてしまひ、かのナポレオンNapoleon 1769-1821もじぶんのためには帝政を復活したくせに、みずからの権力基盤(国民軍のことである)は「革命の申し子」としたために、貴族制を復活させることをしなかつた(できなかつた)。あばずれのジョゼフィーヌが小供を産まないために、由緒あるハプスブルク家から嫁さん(マリー・ルイーズ)をもらったくせに、である。

一往、フランスではいまなお革命是正義で、これに楯つくことは、あんなロベスピエールの恐怖政治があつたといふに、許されない。しかし、人のこゝろは複雑で、王制を復古させたい心性はいまなおフランス人の心奥に深く眠つてをり、それはフランス大統領がすむエリゼ宮儀仗兵のなんと美しく、威厳あることか、そんなところからも一目瞭然である。日本人のケチな民主主義感覚とはかけ離れた華美、贅沢さがそこにはある。

フランスには、建前では、貴族はゐないことになつてゐるが、現実にはゐるのだといふことを、フランス人超エリートと結婚した日本人女性が、姑(義母)から教へられ、「貴族精神 the spirit of elegance」を具体的にまなぶ体裁の本がある。読んだのはかれこれ8年前で、いかにも軽薄そうな外装だが、中身はシッカリしてゐて、私の好尚にかなふものであつた。

今後すこしづゝ紹介していきたいと思ひます。

 

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