ラフマニノフといへば、ピアノ協奏曲第2番(op.18、1900-1年)、同第3番(op.30、1909-10年)が最も有名だと思ひます。こゝでの「協奏曲 concerto」の意味は、ピアノとオーケストラの「かけあひ」のことで、レコードではわからなくても、実際にコンサートに出向いて、生の音を聴いてみると、たいへん良くわかります。むすこはオーケストラ部にぞくしてゐるのですが、分不相応にも、名ピアニストが客演してくださることがあり、第2番を生で聴いて、初めて「成程な」と、この曲が「理解」できたことでした。ツマリ、ピアノはラフマニノフそのもので、オーケストラは、ラフマニノフの話相手。友達や親族のこともあれば、赤の他人のこともある。
さいごは希望の夜明けでむすばれますが、全体にラフマニノフの孤独とかなしみが基調になつてゐると思ひます。レフ・トルストイからはばかげた叱責をうけても、アントン・チェーホフからは暖かい励ましを受けたり、上記第3番についてはグスタフ・マーラー(1860-1911)から絶賛され、指揮をしてもらつたりと、ラフマニノフの音楽は、かなしみの美が、わかる人でなければわからないのだらうと思ひます。共産党や赤軍などの「政治的人間」は、とりわけ、ラフマニノフの敵でした。
先週「NHKクラシック音楽館」を見ていたら、ラフマニノフを支持したチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」がメインでしたが、その「前座」がラフマニノフの「Rhapsody on a Theme of Paganini(1934年)」で、パガニーニの「主題」といふものが24回変奏されてつゞく曲なのです。とちゆう、第7, 9, 10変奏中に、ベルリオーズの『幻想交響曲』中の「断頭台への行進」が流れるのは、どうしてだらうと思つてゐたら、これはグレゴリオ聖歌の「怒りの日」がもとになつてゐるのださうで、両作で出処が共通なのでした。「へえ~」。
有名なのが、第18変奏。この部分以外にも全体として、このラプソディーは傑作だと思ひます。選んだyoutubeの演奏は、指揮者、ピアニスト、オーケストラともにベスト、これ以上は望めないと思ひます。



