暑いわねえ。
高温といふより、高湿に問題ありさう。発汗が凄いもん。
心頭滅却すればうんぬんと、精神論から夏にクーラーで涼む若者を見とがめた「クーラー病」といふ言葉は死語になりにけり。それを言ひ出したじゞいばゞあが、クーラーで涼まないと死ぬやうになつたのだから、いい気味きびである。まこと、よのなか、どのやうに転変するのだか、わからないものである。
美輪明宏は、だから、世の中で永遠に変らないものに重きを置くやうになつたといふ。moralではなく、truthを。哲学のはじめである。しかし「花の色はうつりにけりな」。うつくしき花のいのちと均しく、ひとの命は永遠とはつづかない。この悲哀かなしみsadnessを、請負ふのがliteratureである。われらの人生は誠短い。moralを説いてばかりでうるさいだけの政治や社会には背を向けて、美術、哲学、文学の世界に沈潜して静かな快楽の世界にすごすのが、私は賢い選択だと思つてゐる。ひとの愉たのしみはこれより以外にあるのだらうか?






