op.3 no.2

19世紀においては、フランツ・リストが占めた地位を、20世紀には、セルゲイ・ラフマニノフが占めた。すなはち、ピアノの王者である。ラフマニノフ(1873-1943)は天才で、19歳の時に作曲した前奏曲嬰ハ短調(prelude C sharp minor)、作品3-2は、ラフマニノフに巨万の富を齎した。しかし、それはロシアを離れ、アメリカで「資本主義的」成功をおさめてのちの話で、そこに至るまでには数知れぬ苦難がラフマニノフを待ち受けてゐた。そんなラフマニノフが私は好きである。

なぜ好きか? なにより顔がいゝ。人生のドラマ性。しかし、その旋律の甘美さにおいて、ラフマニノフを超える人をみつけるのはたいそうむつかしいからである。

きょうは面白い映像をみつけたので、見てみてください。

①昭和3年に録音したラフマニノフ自身の演奏によるレコード鑑賞会。

②エフゲニー・キーシンによる演奏。今春、私はシンフォニーホールのコンサートで、キーシンがアンコールに弾いてくれたブラームス(16のワルツ第15番)を聴いて、どうしたのかと周囲をたじろがせた程、号泣した。泣かせる。さいきんは、ストリートピアノでおのれの分も弁へずにラフマニノフを弾くやからがあり、それに「感動した」とか「泣いた」とかコメントしてゐるのまであるが、キーシンのピアノ(最高峰)を聴いてから、物をいへ。そのあとで聴けばじぶんの「感動」やら「なみだ」がいかにウソであり、「演奏」と称するピアノがいかに粗雑で下品か、わかるだらう。

③NHK「ピアノで名曲を」。ピアノのヴェーラ・ゴルノスターエヴァ先生は、ラフマニノフが首席で卒業したモスクワ音楽院の先生で、中学生くらゐかと見える生徒にもけつして猫なで声を出さず、高いレベルを保つたまま深い教へを伝へようとする姿勢は、すべての教師が見習ふべきもの。そのパワフルさには圧倒される。

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