夏のおわり

30年ほどより前といえば、今でもそうなのかしら、駅の売店におばちゃんが一人おり、新聞やら飲み物やらタバコやらその他細々とした売物をもとめる無数の客に八面六臂はちめんろっぴの活躍をしていたものだった。あるころからは電車に乗ることがめっきり減ってしまったので、現状はわからない。

そんな駅の売店の夏の風物詩といえば、それは、冷やしあめとオレンジジュースをしきりで二分した、表に結露をいっぱいつけたいかにも冷えておいしそうなガラス容器で、滅多にもとめることはなかったが、強いてもとめるとすればその頃ならおそらくオレンジジュースであって、冷やしあめを求める可能性はつゆなかったろうと思うのだが、今となっては、求めたくても、おそらく得られまい。慥たしかあるころから、冷やしあめの缶ジュースが売り出されていたから。よくもまあ味気ないものをつくるものだ。しかし、そのころから私は夏に冷やしあめをもとめるきもちが切せつとなった。

思えばよくできている飲物であって、飴はのどを潤し、生姜はからだを冷えすぎないようにする働きがあって、いかにも東洋古来の「医」の智慧がつまった清涼水なのである。しかし子どもの延長である年ごろまで、その生姜がいけなかった。生姜のあじがわかるようになるまで、いかにも年月を要したものである。

しかたがないから、家庭で自分でつくることにして、いろいろ「冷やしあめの素」を買ったが、模索のはてに最上と思うにいたったものが、宇治市にある岩井製菓の「あめのもと」なのである。本エッセイの目的は、岩井製菓のコマーシャルである。ただ、ひとこと、言うだけでいい。「これはうまい!」です。

 

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