過労死等防止啓発月間(診療こぼれ話2)

厚生省とかいふ、役人どもの集まりは、毎年11月を、「過労死防止啓発月間」に定めてゐるさうだ。「」とはナンダ、人をおちょくっとるのかと思ふが、かういふ言ひ回しをするのが役人といふ連中で、改める風は昔からハナからない。言及に不足があるとか、学もない癖に根性だけはひん曲がつた代議士どもに言質げんちを取られてはならないのである。そのための言ひ回しである。文字面がいかに汚くなつても構ひはしない。咎める国民はわたくし位のものだ。変はり者もあるものだ、で終りである。

街には出てみるものである。こんなポスターが駅に貼られてゐるのを見て、わたくしも初めて写真に撮らうと思つた。わたくしの仕事に関係することがこんな大きなポスターになつてゐるとは知らなんだ。

しごとより、いのち。とある。あたりまへである。

働くことは、生きること。とある。ふん。単なる労働者の価値観に過ぎない。労働を厭ひ出した今のわたくしには必ずしもさうは思へないが、まあ、いゝだらう。

仕事はたいせつ。とある。これも、所詮、人間は百歳にも満たぬ齢よはひしか生きられないことを思へば、今のわたくしには全然さうは思へないが、まあ、いゝだらう。

にんげん、年齢によつて価値観は変るものだ。

これを書いた、霞が関の下請け広告屋にして国税の寄生虫たる、電通のライターは、わたくしよりは前途、春秋に富むのだらう(註。若い、といふ意味の言ひ回し)。しかし、人間所詮は死ぬのだ。しごとなどが大切なわけない。将来、AIのする仕事が増えればますますさうなる。よくこんなウソをいふ。が、にんげん、若いと理解できないことがあるものだ。

肝心なことは次だ。だけど、とある(本文の「でも」のナント弱いこと。こんな言葉を選んでゐること自体、ふざけてゐるのかと、ライターをぶん殴ってやりたい)。過労死をゼロにするといふのは、あたりまへのことだらう。わたくしだつて、ヒューマンなことを言ふのである。(笑)

こゝに関連する話を一言でいうと、「適応障害診断における医師の役割」となる。或は「適応障害診断の本質」。キーワードを並べると下記のごとし。

適応障害、発達特性、抑うつ反応、自律神経失調症状、「疲労」といふ概念、休職によるレスキュー(保健介入)、自殺防止、ひきこもり防止、医師の役割についての分析、医療<保健活動、内科医を超えた複雑な役割が課せられる精神科医、わづかながら発生するうつ病…。

今回は予告編といふことで、テーマの出だしネタとしては丁度よかつた。ちかい内に、また「病気の説明ページ」に新稿を載せたい。

しかし、下のポスターの写真を見て、みなさん、ヘンに思はないだらうか? いかに厚生省が電通や博報堂などの蛆虫の好きにさせて、自ら注文主として、その出来にチェックを入れてゐないかゞが大変よくわかる。ヘンなところ。①わかものしかゐない。中高年がゐない。今は65歳まで定年を伸ばしてゐるのではなかつたか? ②みんな鞄を肩にかけるか片手にもつてゐる。しかしそんな時代はたうに去つて久しい。今は老ひも若きも、見苦しきことこの上ないリュックサックを背負つてゐる。可哀そうなロボットのやうである。娘やおばはんまでもがさうしてゐるといふのに、この写真の世界はいつたいどうなつてゐるのであらう。③一人を除いて、だれもスマホを覗いてゐない。今はほゞ全員が朝からスマホといふコンピュータの奴隷になつてゐるといふのに。この写真は、「現代日本」の出勤風景をまつたく反映してをらない。いつたい何年に撮つた写真なのか。厚生省の役人どもよ、誰がこんな広告を許可したのだ?

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