病気の説明

病気の説明・各論5-7

クレプトマニア(8)

情状酌量の余地

1)ただ、わたくしは学問上のたいくつな講釈をするために、ここに時間をつぶしているのではない。上記は概念を整理しただけである。問題は理屈ではなく、現実なのです。とまどいはあるものの、上記B)(神経症、広義の病気)のカテゴリの中に窃盗症者を含めてもいいのではないだろうか、と思わされる現実がある。それくらい数が多い。

2)この繁華な京都の街中で外来クリニックを開業するまで、万引について悩んでいる相談を受けたことは、10年の勤務医人生で只の一度もなかったのに、開業するや1年間で4人の症例を得、事の意外に、知的好奇心からホームページで当時考えたことをごく簡単にだけ書きましたら、それでも、これに対して山ほど電話相談が押寄せてきました(同旨、文献8 p.15-6)。

3)「悪いことだから何とかしたい」と反省している人が、山ほどあるということです。もちろん、じぶんの刑を少しでも軽くしたいという功利的動機の人も多いでしょうが、居直るよりはマシなので、これは尊重すべき心根でしょう。

むろん、本人が困っているわけではなく、家族が困っているのだという只の常習窃盗犯もあります。実際に会って面談をしてみると、これはどうしようもない部類(後者)だなという場合もある一方で、法律家なみに冷淡なこのわたくしでさえ、きのどくと思える人(前者。医者がばくぜんと「窃盗症(クレプトマニア)」とよぶ人びと)があるのも慥かです。

4)無数にいるのではないかと思われる万引窃盗犯を全員刑務所に送り込むのもひとつの解決です。たしか応報刑論とかいう理屈だと昔、刑法学の教室で習いました。しかし、刑務所に万引の再犯をふせぐ教育プログラムはあるのだろうか? どうもないらしい。そう仄聞しています。刑務所に入れば逆に他の受刑者から悪い感化を受けて「娑婆」に戻ってくる場合もあるのではないだろうか? わたくしがきのどくと思った窃盗症の人は入所した先の刑務官に「なんでおまえみたいなやつがここにおるんや。こんな所にいる人やない。わしはわからん」ともらされることがあったそうです。どうしようもない犯罪者と、窃盗症の人の処遇は、おのづと区別されてしかるべきでしょう。

刑務官ですら、人がらの違いがわかるのですから、みぶんの高い裁判官、検察官においては、なおさらわかって当然なのではないでしょうか? 法の下に人間は平等なのだそうですが、生物学的に人は平等どころではありません。

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