竹茂楼

昨日は、受験の慰労会。

竹茂楼にたのんでお弁当を運んでもらいました。さすがですね、夕刻の指定時間きっかり、弊宅の玄関前にMKタクシーが。

土曜日に息子の中学入試がありまして。

朝の七時から点茶。御菓子は福砂屋の五三焼。一服のんで受験に臨みました。

コロナ対策とかで、受験生は時間をわけて、教室に入場する段取。校庭に最後に入場する受験生たちの群れ。大きな子もいますが、所詮小学生。みんなおぼこいです。最後の一人として、息子がついていきます。集まった親御さんはこどもにがんばってと手を振っていますが、振向く子は誰一人いず。我が息子も同様で、親はさびしいきもちになりますが、子どもらのほうが当然真剣なのでしょう。

算数は得意なのですが、国語が少々にがてのわが息子。まじめに考えすぎて、煮詰まってしまいます。今年の出題は、井伏鱒二の『山椒魚』全文。なんという暴挙! 高校生の国語の教材を小学生に問うとはなにごとでしょう。案の定、「山椒魚はよくない性質を帯びてきたらしかった」の一文、「よくない性質」とは何か?と問われて一問まるごと書けず。

要はひねくれてきた、剣呑な考えに傾くようになってきた、くらいの意味なのですが、まだまだおぼこいので、まじめにかんがえすぎてしまったようです。これで落ちたら、一生井伏鱒二を怨まないといけないとまで思いつめている父の苦衷はしらず、「まあ、できたから」と息子は一向のんきに蜜柑を食べつつ、ふとんの上でゴロゴロしています。

「まあ、おれが受けてきたわけではないのだから」と心中をなだめつつ、算数はどうだった?と訊くと、せっかく対策も十分にしてきた時計算がむつかしくてできなかったと言います。問題を見ればなるほど、むつかしそうで尋常な出題のかんじではありません。しかし他はぜんぶできたというので、よく解けたなと感心します。

息子の答案はいつみても、何をどう考えて解いているのやら、暗号でいっぱいなので、私にはわからないのですが、私のこどものころを思い起こして、どうやら頭のなかと紙の上とがつながっていて、紙の上には思考結果のせいぜい半分くらいしか痕跡として残されていないので、おとなにはさっぱりわからないのですが、子供とはそういういきものなので、とがめず放置してきました。

そうこうするうち、17時。コロナ禍のおかげで合否発表は、ネット発表なのですね。受験番号と生年月日を入力すると…

…結果は、合格!

やれやれ。

うれしい!というより、ただただホッとして、この一年の苦闘の疲れがドドッと押し寄せてきた感じです。

家族三人、竹茂楼のお弁当をしみじみ味わいつつ、時間をかけていただきました。滋味深く「ああ、おいしかった!」のひとことです。

396名受験して、合格者は254名。

土曜日の朝、校庭に集まっていたこどもたちの運命がどのようにわかれたのか想像すると、物哀しい感慨がわきます。不合格だったら「さすがは父に似てわが息子だな」と声かけしようと思っていましたが、合格したので「どうやらお父ちゃんより偉くなりそうだな」と言いましたら、笑っておりました。

 

 

 

 

 

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