病気の説明

病気の説明・各論5-8

クレプトマニア(9)

情状酌量の余地(続き)

5)司法においても、意味のない刑事的処遇には、本心では躊躇をしているのであろうと思われる。再犯の防止。これが刑罰の真の目的だとわたくしは信じています。私も法学徒であったとき、新派の刑罰理論など愚だ、罪には罰で応じればそれで沢山だと鼻でわらっていましたが、その後医者になり社会にもまれて生きてみると、世の中にはいろんな人があるのですから、実際的な見地からは、これが、人の善性を信じる正しい努力目標としか言いようがないと思います(むろん異常人格者による殺人や性犯罪などは別。これらは死刑でよい。矯正不能故)。

しかし現状では、どうなんでしょう。再犯防止といっても、検察官と裁判官は、万引窃盗犯に説教をするだけでしょう。しかし説教なんて、誰にでもできるんじゃないだろうか? そのために高い椅子は必要かも知れませんが、高い学歴は要りません。総元締たる法務省は毎年7月だけは「再犯防止」を周囲に啓発しているそうですが、残り11カ月はどうしているのでしょう? ちなみにわたくしは7月でさえ、そんな啓発の声を耳にした覚えがありません。まあ、皮肉はやめておきましょう。(後述各論5-14クレプトマニア(15)

しかし、わたくしがわたくしの貴重な時間をさいてまで、こんな文章を物しているのは、法曹の人びとは、高い所から被告に説教をするだけで、再犯防止の努力はしていないのではないか、という疑念と義憤がおさまらないからです。そんなことはおれの仕事じゃない、と言われればそれまでですが、医者が患者の声に耳をいやでも傾けざるをえないがごとく、法曹のみなさんにも、国民の疑念と義憤の声には、最低限耳を傾けるフリだけでも、する義務があると思います(同旨、文献8 p.87-91)。

6)ただ、窃盗症については、ほんとうのことを言うと、医者にとってもめいわくな話であります。ある程度奏功が期待される科学的な治療法、とくに薬物療法でもあれば、医者もとっくの昔に飛びついていたこと、請け合いです。しかし、本当のことをいうと、そんなものはない。これからもできそうにない。だから、私も窃盗症の相談には億劫だった時期もありました。また、犯罪者に、国民の税金で賄う保険診療を以て対応するのは適切だろうか、否ちがう、自由診療が筋だろうとも思っていました。

しかしたいていのクリニックは、この手の相談はハナからシャットアウトして電話を切るようで、ならば、きのどくだから、話だけは聞こうかというスタンスでわたくしは臨んできました。自由診療が本筋だが、それだとシャットアウトするのと変らないから、保険診療でいい。要するに、「乃公だいこう出いでずんば」の精神です。長く話を聞けば聞くだけ損するばかりの診療報酬の現状下(どれだけ安いか、御存知ですか?)、手っ取り早いカネ儲けしか考えておらないクリニック群のなかで、これがどれだけ公共奉仕の精神から出ているか、おわかりいただけますでしょうか? 否、むりやりにでもわかっていただこう。検察官の方がたはカウンセリングに行くなど、更生の意志を示せと被告人に簡単に仰る由ですが、クリニックも含めて適切な対応をしてくれる所は、この京都には碌にないのが現状なのです(ある、京都で最大の病床数を誇る某病院などは、どうすればいいのか、わたくしに尋ねて来たことがあるが、医者なら自分の頭で考えろとお返事したことを思い出します)。 そのことを承知で物を言っているのか、どうなのか(同旨、文献8 p.185)。

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