病気の説明

病気の説明・各論5-11

クレプトマニア(12)

窃盗症「クレプトマニア」について

1)それでは、ようやく、司法的判断(DSM)とは離れた、医学的観点からみる(わたくしの経験上考える)「窃盗症Kleptomaniaとはなんぞや?」というところをお話してみたいと思います。

各論5-2クレプトマニア(3)の末尾にあげた竹村道夫氏や吉田精次氏の書いた本には、最初から「行動嗜癖addiction」だの「衝動impulse制御障害」だの「DSM-5の診断基準」など難しい漢字や胸糞のわるくなるアルファベットが並んでいるので、医者のわたくしでさえ読むのがいやになります。しかし、古茶大樹氏がいうように、「窃盗症」の概念は、他のすべての精神障害と同様、「理念型」診断(だいたい、こういうもの)という「ゆるい」ものであって、「治療」に資するための「類型」であれば、それで足りるわけです(文献5)。

この連中は「行動嗜癖」だの「衝動制御障害」だの御大層なことを言っておりますが、その脳内メカニズムは他のすべての精神障害同様、正確なことは何ひとつわかっておらないのですから、殊更にもっともらしく使用されるべき言葉ではありません。他にも「依存症」に特有の「専門用語」(例、自我親和性)などがもっともらしく使われることもあるが(文献8 p.31)、わたくしには宙に浮いた言葉にしか聞こえません。

2)万引は驚嘆するほど、ごく身近な犯罪です(同旨、文献4 p.924)。いい年をした50-60代のおっさんでもコンビニで缶ビールを平気でくすねていたりします。女性は食品や生活用品以外では、貴金属という例が、存外多いです。しかし本人の背景には、それなりに深刻なストレスが隠れている場合があります。(自験例5件)

3)万引という行為を考えるうえで、まづ大事なことは、回数ではありません。わたくしの考えでは、たとえ、1回の万引でも、クレプトマニアというに足ります。しかし、多く、ストレス因は強く慢性的に続いているので、何度も何度も繰り返すだけだと思っています。これは私見です。回数が少なくなるか、多くなるか、それは、背後にある「ストレス」の強弱と持続期間が、関係しています。むろん、本人の性格(ストレス耐性の強弱)も加味して考えなければなりませんが、比較的強いストレスが短期で一過性であれば前者、長期で慢性的であれば後者になると考えるのが、合理的です。患者により、その人生において、万引行為にしばしば中断期間が存することがその証左です。(自験例2件以上)

わたくしは各論5-6クレプトマニア(7)にカテゴライズした神経症圏の発症メカニズム、すなわち、X(ストレス源)→Y(a心身不調/b非行) の基本(原因→結果の反応式)に忠実に、物事を考えるべきだと考えます。そうすると難しい理屈は、何ひとつ要りません。

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