病気の説明

病気の説明・各論5-10

クレプトマニア(11)

情状酌量の余地(続き)

さいきんはアメ公のDSMのおかげで、何でもかでも「病名」とやらがつくようになりましたが、昔の豪い日本の精神科医は、そうそう簡単に病名などはつけずに様子を見たものです。わたくしはいいかげんに見えてじつは深い、その英知に見習いたいと考えています。

まづは相談者と直接会って話をすることが何より重要です。それだけでも、その人の人生に変化をもたらし得ます(一期一会)。

会って話すことは、その人に内省をもたらします。おおくの人がじぶんの人生をじゅうぶんに振り返ることができていません。おそらくつらいからだと思います。情けなくなるからだと思います。真実には直面したくない。だから自覚したくないのです。弱い人たちです。しかし、何か客観的な自己観察ができるだいじな内省がいつか来ます。(と信じることにします。)それがいつ来るかはわかりません。なので、定期的な通院が欠かせません。

1週間ごと。2週間ごと。1月ごと。3カ月ごと。通院間隔は、受診者の精神状態、受けているストレス状況をみて決めます。

通院は、定期的に、受診者におのづからじぶんを見つめ直す反省の機会を与えます。そういう機会とするようわたくしからも促しています。小医には治せない。自分で治すのだと突き放しています。といってわたくしは必ずしも冷淡なわけではなく、受診者といつも「歓談」できる位の技倆は持合せています。他の病気と同様、通院の継続自体に、治療効果があると感じています。「一日一日、じぶんの反省を証明し続けていきましょう」とはげましています。「ルーチン」は坊主の念仏とおなじで、薬になるのです(同旨、文献8 p.202)。現在、弊院の通院者は6名です。(小医が2024年7月に鬱病で入院していなければ、通院がつづいたであろう人は、もう2人以上あった)

受診時58歳男。2年通院継続。執行猶予期間残り2年3月

受診時67歳女。1年4月通院継続。執行猶予期間残り1年10月 

受診時45歳女。1年1月通院継続。保護観察付執行猶予期間残り4年6月

受診時22歳女。9カ月通院継続。略式起訴罰金刑

受診時78歳男。9カ月通院継続。起訴猶予

受診時53歳女。2カ月通院継続。未決。

京都市内では、おそらく、わたくしが、特別積極的だったわけでは毛頭ありませんが、一番おおくの数のクレプトマニア症例を診ていると思います。これも誇示ではありません。事実です。たぶん、これほど詳細にこの話題を書ける医者は京都にはいないでしょう。ただ特別なことを言っているわけではなく、参考にあげた文献と似たり寄ったりの知見しかありません。しかし、そのことは複数の人間における知見に共通性があることを意味しているので、客観性を保証しています。みるべきものがわたくしの書いたこの文章にあるとすれば、他書にはない鋭利さだろうと思います。

わたくしはこれを書きたくて書いたわけではありません。だから憚りなくズケズケわたくしの書きたいように書いています。わたくしは鬱病の病み上がりで、すぐに疲れてしまいます。書いたのはただの成り行きです。しかし、わたくしが「きのどく」と思える人には、世の中で寛大な取り計らいがあればと願うだけです。

註)しかし再犯率は非常に高い。楽観は禁物である。

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