診療実績

としかわ心の診療所 初年度(H29.5.1〜H30.4.30)診療統計

受診患者総数は1630名で、うち女性1027名(63%)、男性603名(37%)で、女/男比は1.7となっています。がんらい、心療内科・精神科では、女性の受診者のほうが多い傾向にあることが指摘されています。年齢層別の図表をご参照ください。

10代 7% 女性79名男性43名
20代 50% 女性524名男性280名
30代 20% 女性181名男性138名
40代 13% 女性133名男性75名
50代 7% 女性70名男性51名
60代 3% 女性40名男性16名
女性 男性
1027名(63%) 603名(37%)

全年齢層で、女性の受診者数が男性を上回っている結果となっています。1日平均の新患数は6~8人、再診を含めた総受診者数は30名です。受診者の受診回数ですが、1回ぎりの受診者は746名で、全受診者の46%。4回以上受診した通院者は537名で、全受診者の33%となっています。心療内科・精神科で、初診から4回以上の通院が続くのは、だいたいどこの医療機関でも、およそ3割程度かと思われます。

心療内科・精神科で1回ぎりの受診者が多い理由としては、以下のことが考えられます。

  1. 治療が必要であるのにもかかわらず、診療の継続を拒否する。統合失調症や躁鬱病、アルツハイマー病、アルコール依存症などで多い傾向にあります。
  2. 医学的診断の受け入れ拒否。人格形成に未熟性や片寄を抱えている人の過半は、「現実を正しく認識する」ということがにがてです。弊院に限らず、1,2度受診しただけなのに、Google reviewに医療機関の悪口をすぐさま投稿したりして、こらえ性がありません。医療機関は、だれかれにもお世辞やお愛想を売る辻占ではありません。一人ひとりに真実を告げる厳粛な場です。そのことをわすれて自分の期待しない真実や結果を直截に指摘されるや、すぐに「傷ついた」「お金を返せ」などと言い出していては、どこに行っても、続かないことでしょう。
  3. 偶然的な受診。まちなかのクリニックでは、つきものの現象といえましょう。前々から気になっていたとか、とりあえず来てみたというもの。じぶん一人だけでぐずぐずしているより、一度は客観的な評価を受けてみようという気持のニーズがあるようです。多くの方は受診結果に満足されているように感じています。他には、どこにも持って行き場のない孤独、恋愛、離婚、病気、人生の行末に関する悩み相談や、じぶんのことと言うよりは、祖父母、両親、配偶者、恋人、子供、職場や近隣住人の病気・性格(主に精神科疾患寄り)、それらの人びととの争い、トラブルの悩み相談も少なくありません。弊院では「医学的背景」がある限り、「成熟した大人の悩み相談」である限り、傾聴の姿勢を崩しておりません。なかでも、両親や配偶者、こども、職場の上司・同僚に発達特性があって、困っているという方のお悩みはじつに多いという印象があります。
  4. 職場での仕事・人間関係の悩み(適応障害)は、本人が休職、退社など、覚悟を決めている限りは、おおよそ、受診回数は1~3回程度ですみやかに解決しています。職場環境に明らかに問題がある場合、本人の身体的精神的不調に医学的理由がある限り、休職診断書や産業医へのお手紙を作成して、レスキューのお手伝いをすることにやぶさかではありません。

次に疾患別統計をご説明いたします。
アルツハイマー病が2名、老年期精神病が1名、パーキンソン病による不安症が2名、頭部外傷後障害が1名、(幼児期から診断が確定している)自閉症が2名、精神遅滞が1名、せん妄が2名、統合失調症が39名、躁鬱病が11名、うつ病が28名、インフルエンザ後抑うつ症が4名、妄想病が5名、急性精神病が2名、アルコール依存症が4名と器質性(外因性)・内因性疾患は104名で、これが全体の6%を占めています。

その他、証明書関係が4名、片頭痛などが11名、ナルコレプシーを含む睡眠障害が16名、精神病圏には未達の軽度心因反応が10名、各種相談157名を除くと、大きく神経症圏に含まれるのが総勢1328名でこれが全体の82%を占めています。その内訳を示す前に、「発達特性」ということについて、ご説明いたしたいと思います。

上記1328名のうち、発達特性をみとめる人が649名で49%を占めています。広く自閉スペクトラム(AS)と注意欠陥多動症(ADHD)をさして、まとめて「発達障害」と呼んでいますが、いちいち「障害」と呼んでいたのでは、キリがないくらい、そういう傾向をもった人は世に多いので、世間では「グレーゾーン」とか呼んだりもしているようですが、私は簡単に「発達特性 developmental traits」と呼ぶことにしています。

発達特性とは、要するに、自閉症傾向のことです。濃いから薄いまで濃淡(スペクトラム)があります。幼少時からその特性が明白にある子の傾向濃度が10とすると、私の経験的な尺度では、その半分の5でも濃いし、その半分の3や2でも濃く、いわゆる「おとなの発達障害」と言われる人の濃さは、ふつう、せいぜい0.5から1.8程度なのではないかと感じています。そしていわゆる正常人が0.3以下ということではないかと。もっとも、これは、あくまでも私のこれまでの臨床実感によるイメージですが。

「特性」とは、たとえていうと、パンに押すパン屋屋号の「焼きゴテ」のようなものです。濃~く押されたものから、ごくごく薄くしか焼き印がついていないものまで、ぜんぶキッチリ印が押されたものから、印の一部しか押されていないものまで、さまざまと想像するといいのではないでしょうか。パンの味はパン生地がどういうものかで変るように、これが人の「性格」と考えるといいでしょう。ASとADHDは両者セットで存在していると感じています。どちらが前景に出てどちらが後景に退いているか、その個人差があるだけだと思います。

「発達障害」については、過剰診断や過少診断が、医者のあいだでも取沙汰されていますが、発達特性の有無を、医者が適切に見抜けていないこと自体が問題だと感じています。特性のあるなしと「障害」かどうかは別問題です。特性があっても、世間で普通な顔をして生きている人は身近にいくらでもあります。周囲がよく気づいていないだけでしょう。

特性の有無は医学的事実です。「障害」というべきか否かは政治判断です。「障害」でなければ特性の存在をも否定しようというのは、医学を政治(障害者差別反対とか?)に従属させようという目論見です。自然的事実(医学)をにんげんのつごう(政治)で無視しようと言っているようなものです。特性の有無と「障害」の認定を同一の問題としていることが混乱のもとになっていると私は考えています。

わたしが「発達特性」のみきわめを重視していることには医学的理由があります。

・なぜこの人はパニックを起こしやすいのか?
・なぜこの人は自身の体の調子をむやみに気にする(心気症)のか?
・なぜこの人は対人的に緊張しやすいのか? なぜいつも他人の思惑が気になって仕方がないのか?
・なぜこの人は「うつ」になりやすいのか? 

これらの「なぜ?」を説明する有力な医学的生物学的理由があるとすれば「発達特性」以外には考えられまいと感じているからです。この京都の地にきて、毎日毎日おおくのわかものを診て、私のそれまで抱いていた長年の気がかりと謎は、ぜんぶ繋がって氷解したのです。「はい、うつですね」「パニックですね」とそれだけ言う医者が多いようです。受診してきた患者さんの話によれば。しかし、そんなことを言うだけだったら、医者なぞ要らないのではないか?誰だって、それくらいのことは言えるからです。見たまんまなので。

いちばん大事なことは治療かも知れませんが、そのまえに理由を尋ねたいと思うのが人間というもので、DSMとやらは患者さんが求める「質的診断」を回避しています。

うつ病については、伝統的に、これまでずっと患者の「病前性格」が発症に関係すると多くの医学者によって指摘されてきました。それには「科学的根拠」がないとかいう声にひるんでいる医者が年寄でも増えているようですが、ひるんでどうする?と私と思います。私の勝手な理屈や思い込みではなく、経験的な事実として、それはあり、「発達特性」と強い結びつきがあると日々の診療で感ぜずに済む日がないからです。

 

サテ、神経症圏内訳のつづきです。神経症の診断名は ①その人の人がら ②発症のきっかけとなったイベント ③症状の特徴や症状が継続する期間の長短、これら3つの要素のいづれに重点があるかを勘案して決めています。

適応障害(自律神経失調症) 450名(うちAS/ADHD223名 未熟パーソナリティ42名)
不眠症 132名(うちAS/ADHD不眠症30名)
パニック症 79名  (うちAS/ADHDパニック症27名)
心気症 27名  (うちAS/ADHD心気症16名)
強迫神経症 17名  (うちAS/ADHD強迫神経症7名)
抑うつ神経症 61名  (うちAS/ADHDうつ32名)
不安神経症 78名
未熟神経症 43名
あがり症(社交不安症のうち機会的なもののみ) 24名
対人恐怖症(社交不安症) 62名
AS/ADHD 314名
摂食障害 3名
悲哀反応 7名
情緒不安定パーソナリティ 6名
クレプトマニヤ(盗癖) 2名
Student Apathy 10名
急性ストレス反応 7名
解離性障害 6名

適応障害(自律神経失調症)で過半を占めているのが職場でのパワハラやいじめですが、単に仕事がいやになりましたとか自分勝手としかいいようがないものも含まれています。「未熟神経症」や「未熟適応障害」というのは医学的診断のカテゴリにはないものですが、臨床的にはコウ名づけるのが正にピッタリという人が昔から絶えませんので、忙しい日々の臨床の中では有益な分類枠として、こころみに、そうしています。発達特性について、どの医学教科書も明確な記載を怠っている特質に「幼さ、未熟性、自立性の欠如」があります。自閉スペクトラムとかADHDとかややこしそうなネーミングがついていますが、発達特性とは、だれにも伝わるように、わかりやすくいえば「知・情・意の発達のおくれ」ということです。個人差はあるが、じぶんの意志が決定できないとか、すぐに人に頼ってくるとか、いつまで経ってもコドモという面がありますねという私の指摘に、う~む、ほんまにそのとおりですわ、と深くうなづかれた親御さんや同席者の顔を、いったい何人見てきたかわかりません。

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