慶沢園ツアー

私の趣味のひとつは、お庭めぐり。

秋田にいた時分は、東京へときどき小旅行に出かけて、小石川後楽園、六義園、浜離宮、芝離宮、古河庭園などを見て廻ったものです。

先日、岩倉にでかけたおり、岩倉具視幽棲旧宅に立寄ったことは、以前のブログでも触れたと思いますが、そこで「慶沢園茶会ツアー」の催しを知り、四月の休みに出かけてみました。

慶沢園。平成31年4月29日。

慶沢園は、大阪茶臼山にあるもと住友家のお邸。天王寺動物園のとなりにあります。大きく手を入れたのが住友春翠(1865-1926)男爵。この方はお公家さんの出で(兄が西園寺公望)、東洋中華文明の教養ふかく、「文人」「趣味人」として、煎茶も抹茶もひとしく嗜んだ方で、京都では、泉屋博古館に膨大な美術コレクションを残しています。広大な広さをもつ須磨別邸には本格的な西洋建築を立て、西洋趣味も兼ねた人でした。

植彌加藤造園さんは、明治の元勲山縣有朋公がつくった無鄰菴をはじめ、おおくの庭園を管理されていますが、お茶の会や歴史教育の文化イベントにも関わっておられ、こんかいの慶沢園茶会もそのひとつ。立派な会社だと思います。

なぜ大正七年に園の名称が「恵沢園」から「慶沢園」に一字変ったのか不明なのですが、息子の名前が「恵沢(よしみつ)」なので、この庭園には一度むすこを連れてきたかったというわけです。

ここの造園を手がけたのは、例の七代目植治(小川治兵衛)ですが、入口の門をくぐって大池のまえにひろく視界が広がる開放的な雰囲気は、東京の六義園につうじるものがあると感じました。

あべのハルカスのような建物が将来できるとは大正七年の時点では予想もつかなかったでしょうね。

庭をめぐって、見どころを教えてもらったあと、茶室でお茶を一服、たのしいひとときを過ごしました。

植彌加藤造園さんからのアンケートに「今回の催しの料金は ①高い ②普通 ③安い」とあり、「おとうさん、どれを選んだらいいの?」と息子が訊くので、「もちろん、③の安いにマルをつけなさい」と私が答えたら、茶席一同からどっと笑いがもれたのは一興でした。

しかし、庭のみどころなどをガイドさんからライブで教えてもらう機会はすくないので、こういう機会は貴重で、得るものは大きいのです。

「美」に親しんでほしいとむすこに願うばか父の実地教育は、また続きます。

慶沢園からのぞむ大阪市立美術館。ここも東洋美術の宝庫です。

 

 

 

 

 

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  1. 風かをる

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