病気の説明

病気の説明・各論4

妄想病・老年期精神病


統合失調症は、概して1030代で発症する、わかものの病気なのですが、40代以降、老年期でも発症することがあります。臨床的には女性患者例が、圧倒的に多い印象があります。老年期で発症する場合は、どういうわけか「老年期精神病」などと呼んだりして、典型的な統合失調症と区別する慣例のようですが、本質は同じだと思っています。ただ、発症の年齢が遅いので、それまで健全だった期間が長いぶんだけ、外観上も一見「普通の人」っぽく見えることが多いと思います。但し孤独で狷介な人柄が多いようです。

幻聴などはなく、妄想だけが突出している例を特に「妄想病」と呼びます。パラノイドだの、パラフレニーだの、パラノイアだの、学者はいろいろ細かく区別していますが、うるさいので私は単に「妄想病」と呼んでいます。異常性は「妄想」に関することだけに限局されている傾向にあります。それ以外は、一見には、普通の(ただし、少しクセがありそうな)おばさん(おばあさん)に見えることが特徴です。

「妄想」の内容としては、天井に誰かが棲んでいるというものがあります(幻の同居人)。天井から糸を垂らしてじぶんに性的ないたずらを仕掛けてくるのだとか、誰かが、じぶんのいない間にそっと家に忍び込んできて、ドアや窓を少しだけ開けていく、或は物を盗っていくと言うのです。悪いことをする住人は、自分の住むマンションの階上の人であったりする場合もあり、夜中に騒音を出して自分にいやがらせをしてくるのだと訴える場合もあります。警察に通報して、騒ぎになることもあります。

「妄想」の内容で他に多いものは、じぶんは不当な損害や仕打ち(解雇、名誉棄損、近隣住民からのいやがらせなど)を受けているので、かくなる上はじぶんも弁護士を立てて「加害者」と法的な争いを辞さないとか言うものです(復権妄想病、好訴病、闘争パラノイア)。

妄想病の人は、多く診療所にだしぬけにやってきます。だいたいが混乱した風をして、小医には与り知らぬ書類などを持出し、何とかしてくれと言ってきます。どういうことでもめているのか、だいたいはわかるものの、詳しい内情については、わざとらしく秘密めかして決して教えてはくれないので、とどのつまりはよくわからないことばかりです。小医としては、うんうんと肯いてやるだけのほうが得策です。へたに真実を追求しようとしますと、妄想病の人はだいたいがケチなので、よくもじぶんの気に入らないことをしてくれたな、それまでの診察料を返せとか言い出します。(これは本当で、2例がそっくり同じ経過でした) ふゆかいな思いもさせられますが、たいへんコミカルで人間臭くもあり、そこが魅力で小医は「妄想病」の人を診るのが、そうきらいではありません。

参考文献
・春日武彦『家屋と妄想の精神病理』(河出書房新社、2003年)

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