病気の説明

病気の説明・各論7

各種相談


入院施設のある精神科の病院とちがって、まちなかにある心療内科・精神科のクリニックに利点があるとすれば、それは「気軽さ」だと思います。

望月ののぞみかなうことすくなき憂き世にうまれて、悩み、くるしみを持たない人はありません。しかし、気軽に人に相談をすることができる場所はあるのでしょうか? 

日本は世界に冠たる孤独社会です。江戸の昔から変りません。自殺率もロシアを中心とする元共産主義圏の国家並に高率です。親身に話を聞いてもらうには、いったい、どこへ行けばいいのでしょう? 

ないのです。

見当たらないのです。

孤独を慰藉するサービス提供機関として、信頼が置けそうな場所は、この現代ニッポンにおいては、心療内科・精神科クリニックくらいしか、見つからないのです。

どうしてこんな世の中になったのか? 日本は仏教国でありながら、いつかしら、お坊さんは、少数の例外を除いて、現世の人のなやみを救おうとはしなくなったためです。耳を傾ける気力もないし、なけなしの望みをあたえる実力もありません。

あやしげな新興宗教がはびこる社会的土壌はここにあるのでしょう。人を疑うということをしらず、キレイゴトが大好きな発達特性者は、すくなからずその餌食となっています。

医療機関として可能な、健全な常識の範囲内で、小医は耳を傾け、ささやかなアドバイスをしています。

人と話をするということの中に、おのづと慰めがあり、じぶんの考えやきもちの整理作用というものがあるようです。或は、じぶん一人だけだと、思いつかなかった物の見方の気づきが。

凡人たる小医にできることは、それくらいしかありませんが、それでよかったら来てください。

但し、「心療内科」の医者には、「なにかすばらしい心の癒し」を人に授けるふしぎな能力があるかのように勘違いしている人びとがありますが、小医は、冬ソナのヨン様ではありません。奇蹟(ミラクル)は、かみさまだけが行えることですので、念のため。

受診のきっかけですが、「眠れない」「うつ」「きもちが沈む」「何もやる気がおこらない」「涙がこぼれてとまらない」「人生に意味が見いだせない」「いっそ死にたい」「周囲に受診をすすめられて」ということが多ございます。

入口はいちおう「病気」の相談ですが、なかみに入ると、医学的相談というよりは、社会的人生相談とまとめるほうが適切なものを「各種相談」と小医は分類しています。「医学とは社会学である」といった先達がありましたが、救急外来や、心療内科・精神科外来は、正にその言葉がピッタリという場面が多々あります。

診察がおわって「じぶんが病気ではないとわかって安心した」「話を聞いてもらっただけでもよかった」「何かいろいろ気づくところがあった」「考えがかたまった」と満足顔で退席されるのを見ると、小医も何やらよいことをしたようにニヤつきますが、よのなか、そうそうキレイゴトでおさまるわけはなく、にがにがしい思いをさせられることも、一度や二度ではありません。

これまで、弊院で受付けてきた相談内容を、以下、具体的に挙げていきます。

①転職や進路、人生の引き際の相談。失敗やうまくいかないこと続きで人生に「道」が見えず、さまよっている、袋小路に入っているという相談。ライトからヘヴィーなものまで色々です。

②家族に関する相談。父や母に「モンダイ」がある、「オカシイ」のではないかという悩み。暴言、暴力、電話メールでしつこくつきまとう、過干渉、人の話は聴かない、気分屋、人の悪口ばかり言う、浪費がとまらない…etc. 子供がアスペルガーないしADHDだろうか? そう言われてきたのだが、本当だろうか? 今後どうしたらいいだろう? 結婚や相続、家業継承をめぐる骨肉の争い。家族の病理現象についてのお悩みも絶えません。「発達特性」の有無については、小医の分析を聞いて「やはりそうだったか」来てよかったと言ってくださる方が少なくありません。

③恋愛相談。恋人の裏切り、愛のおわり、同性愛のくるしみ、不倫の男女関係、とんだ火遊び、etc. 恋愛は人生の華。お話は聴きますが、病人扱いは一切しませんし、また、弊院は法律事務所ではありません。お相手に裏切られた苦しみを「病気」に仕立てて「診断書」を書け、などと迫られてもねえ、そんな野暮な話は困りますよ。お互いの相性、性格の不一致、またお相手に何らかの精神医学的問題(情緒不安定パーソナリティ、自閉スペクトラム、ADHD)がひそんでいる場合、小医の分析がすくなからず役立つことがあります。

④夫婦の悩み相談。夫婦のきもちや生き方のすれちがい、配偶者の浮気、離婚危機、「病んだ」と称するよりほかないこじれにこじれた夫婦関係、など。妻が理不尽なことを言い出して、暴言を吐いたり、騒いだり、暴れたり、あげくのはては自分が被害者だと警察を呼んだり、手に負えませんと、そんな「DV妻」をもった夫からの相談が予想外に多ございます。「精神病か何かなのでしょうか?」と。このばあい、妻に発達特性が疑われる場合が少なくありません。アスペルガー夫からの感情的被害(カッサンドラ症候群)を訴える奥さんからの相談も同様に多ございます。

⑤セカンドオピニオン。他院で受けている自分の病気(うつ病、強迫神経症、摂食障害、躁鬱病など)の診断と治療はこれで正しいのか? 投薬内容は適切なのか? 減薬はできないのか? といった相談も多ございます。だいたいのばあい、間違ってはいないと思います。しかし、主治医からの説明が十分でなかったり、わかりにくかったりするので、ご不満や不安が募るのだろうと同情しています。

⑥各種健康相談。「自律神経失調症」を主訴に来院されますが、心理的なストレスが原因というより、原因はどうみても、単純に身体的な過労と睡眠不足による、というものが一番多ございます。これについては、心療内科・精神科というよりも、単に内科の範疇と思われますが、労働条件というものに対して非人間的な日本の社会風土とも関連するのでここに区分けしています。通勤時間が長すぎることも疲弊の原因になっています。片道1時間が限度ではないかと思われます。華奢な女性はてきめん倒れています。大学生にあっても、クラブやサークルの活動がいわゆるブラック企業なみの長時間拘束という場合が散見されます。心身の健康のために、決して好ましいこととは思われません。

参考文献
・岩波明『ビジネスマンの精神科』(講談社現代新書、2009年)第4章「うつ状態」
・中田力『アメリカ臨床医物語』(紀伊国屋書店、2003年)

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