冬帽子

失ひし ものを探しに 冬帽子 有馬朗人

この季節になると、自然おもいだされてくる句。有馬朗人氏は、理論物理学者で東大の学長をされていた方。最近お亡くなりになったと聞きました。

失せ物をとりに外へでかける景を詠んだと、表面的にはそうなのでしょうが、や・かな・けりの切字がないにもかかわらず、しみじみした情感がでてくるふしぎな句です。

「失ったもの」とは何か?

それを「探す」あては、ほんとうにあるのか?

いったい、どこへ行くのか、この寒い中。

しかし、私には冬帽子があるからねと、ほんのりあたたかみがさしている。

そんな、意味世界の広がりがあるからなのでしょうね。

おとなの俳句です。

 

 

関連記事

  1. 無事是貴人

  2. 秋、黄落

  3. 清涼飲料水

  4. ナツノオハリ

  5. ぶどう

  6. 小さい秋みつけた

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

このサイトについて

京都市中京区蛸薬師 四条烏丸駅・烏丸御池駅近くにある心療内科・精神科クリニック「としかわ心の診療所」ウェブサイト。診療所のこと、心の病について、エッセイなど、思いのままに綴っております。
2021年8月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

カテゴリー