花見小路にちかい四条通にある何必館。魯山人のコレクションがあることでゆうめいですが、ウィリー・ロニス(1910-2009)という人の写真展をしていたので(6月23日まで)、ふらり入ってみました。
おもに第二次大戦前後、1950年代までのパリの小景を写した写真展でしたが、いづれの写真も詩情あふれるもので、すばらしいひとときを過ごすことができました。
詩のなかに画があり、画のなかに詩がある。
文人の伝統にある詩画一如の考えは、美の定義の一つで、少時ここちよい瞑想と陶酔とにひとを誘(いざな)うもの。そうした美の体験は、とまったような時間と静穏がセットになっていると思います。
まちなかの喧騒を忘れさせる静謐が確保されている場所があると言うのは、生活上のリラクゼーションにとって、じつによいことです。
坪庭や茶室を家の中ほどや最奥に拵える町屋のつくりは「市中の山居」という東アジアの伝統思想を建築様式に取りこんだものであろうと私は思いますが(実際、ふるく戦国時代、来日したポルトガルのイエズス会宣教師が「市中の山居」とノートに書き留めている)、何必館では最上階にありました。
魯山人の花器もいくつもゆったり拝見しましたが、どれも「これはいい!」と思えるものばかりで、これも「ほお~」というためいきと眼福のかぎり。
私も将来財産をこしらえて、こういう美の空間を京都の地に残したいものだと、ゆめだけは大きく想像しています。
「門を叩けば門は開く。途方もない考えがなくては、途方もない結果はない」(北大路魯山人)
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