忙中閑あり
…とは、誰が言つたのか。素敵な言葉です。
遊びをせむとや生れけん 戯れせんとや生れけむ 遊ぶ子供の声きけば わが身さへこそゆるがるれ
私が「贅沢」といふことをかんがへるときは、いつも梁塵秘抄の哀感あふれるこの歌が、どういふわけか、脳中にひびき渡ります。
ただし、元とは全くずれた私的な意味あひで。
わたしらは日々のくらしの中でひとつの贅沢も味はふこともなしに果して死んでいつていいのかと。貧乏を強要されるためにわたしらは生まれてきたのだらうか、もしさうなら、すくなくともこの私には、耐へられますまいといふ憤怒の歌に聞こえてくるのです。
特別な機会とはおかまひなしに「ふだん使ひの贅沢」をこそ日常化すべきです。じぶんの人生こそたいせつです。けちな世間のことなど、知つたことではありませぬ。ふだんの生活で粗末なわりばし、安物のプラスチック製品をいつまで使ひ続けてそのまま死んでいつていいのでせうかね? 憲法にうたふ「個人の尊厳」とか「健康で文化的な生活」つて、いつたい何なのでせうかね? ちいさいときから私は、どういふわけか、日本にしみわたるけちな貧しさを憎み続けてきました。
コーヒーは結局、私の体質には合はないので、紅茶を好みます。アールグレイには各種ありますが、英国王室御用達のトワイニング製レイディ・グレイがベルガモットが最も薫つて私の好み。夏の季節は水出しで冷たく味はひます。
紅茶といへば檸檬がつきものと発想まづしき私を許してください。ご近所のDEAN&DELUCAで販売されている檸檬のシロップ漬けが、甘くこども時代を思ひ起こさせて、つひつひカップの中に沈ませてしまひます。マイセン、ヘレンドのブルーにいかにも似合ひます。
DEAN&DELUCAでは岡崎にあるタルトタタンで著名なラ・ヴァチュールのケーキを取扱つてもゐるのですね。私が驚嘆したら若い店員の娘さんは「え、さうなんですか、知りませんでした」とあつさり。四条通のル・ノーブルさんが開業祝にくださつたウェッジウッドのトレイに載せてみました。シルバーはもちろんクリストフル。
ちいさなスタンド・テーブルは3月にたすかーた・そるてさんで注文したもの。材はパドゥークといふギターなどに使はれて独特の赤味あるものです。
にんまりしつつ、いただきま~す!
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