コニャックな夜

すばらしい秋。

しごとが終ると「鈴懸の径」のメロディを鼻歌でうたって、足どりもかろく、家路をたどる夜の遊歩はたのしい。

わが家にたどりついた深夜のたのしみは晩酌。

LARSENというコニャックは、香がばつぐん。ヴァイキングシップを象ったリモージュ陶器の酒瓶で有名。

幼少のころ、プラモデルをつくる接着剤の匂いがすきで、嗅いでうっとりしていたら、よく父親に叱られたものだった。こどもとはへんなものが好きになる生き物である。LARSENの芳香に陶然としていたら、そんな昔を思い出したりするのが楽しい。52年もこの世に生きているのに、ろくな成長をとげていないものと知れる。

LARSENの香を楽しむには私なりの作法があって、グラスは、グラッパの老舗イタリアPOLI社製の職人手吹きベネチアングラスを使う。40mLと少量しか入らないので、コニャックの液面すぐ近くにまで鼻をよせてこころゆくまで香をきくことができる。グラスはかろく、ステムの細さが、触感の官能をさらに刺戟するようにできている。

さんざん嗅いで、一日そのままグラスに置いたあと、次の日の夜に飲み干すと、揮発成分が抜け、コニャックが甘くのどに沁みとおるという次第。

遠き日の 思ひにひたる 夜長かな  明以

LARSENコニャックとPOLIグラス

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