白いばらを愛する人はすくなくないようで、弊院にかざる白ばらを「いい」とおほめ下さる皆様に感謝します。「ばらというものは、何と美しいのであろう」とは、名探偵ホームズシリーズ『海軍条約事件』の中の名場面。
都会の刺戟を愛して田舎の自然を嫌う、かのダンディ、シャーロック・ホームズでさえ、ばらを愛したのですね。
ホームズにはめづらしいことだとワトソン君の感想。というのは、I had never before seen him show any keen interest in natural objects.
ホームズは言う。Our highest assurance of the goodness of Providence seems to me to rest in the flowers.(野の花をみれば、この世に神さまがいらっしゃるのは確実だと信じることができます)腕力とか欲望とか食料といったもの、これは生存に必要だから、というに過ぎないものです。しかしバラは違う。特別な存在(extra)なのです。その香り、色、これは生存の条件ではない。人生をいろどるもの(embellishment)です。It is only goodness which gives extras, and so I say again that we have much to hope from the flowers.(神だけが特別な美をわれわれにお与えくださるのである以上、もっと花にわれわれは希望を託していいのではないかと重ねて言うのです)
ううむ、名探偵ホームズはじつに詩人ですね。
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