わたくしらの時代のアイドルといふと、中森明菜と松田聖子が双璧であつた。
わたくしは大阪府立第五学区のトップ高に在籍してゐたが、「聖子ちゃーん!」と叫んで、追つかけをしてゐるといふ自称「隊長」の学友があつて、どうしてそんなに夢中になれるものか、内心おどろきを隠せなかつたことが今に忘れられない。ハッキリ云ふと、その学友(慥か、なまへを橋本君と覚えてゐる。彼はじつにハンサムであつた)を軽蔑し、かつ、驚嘆した。
わたくしはグラマラスなをんなが数寄で、その趣味は今にいたるも不変である。聖子だか明菜だか、こんな細つちい小娘のどこがいゝのだらうか、今に理解できない。
日本のアイドルは、そのまへの世代の、森昌子、桜田淳子、山口百恵の時代でも、それは同じで、アダルトビデオが普及した頃から日本語となつた「巨乳」などといふ、身も蓋もない言葉とは、無縁の存在であつた。
昔は「ボイン」といふ言葉(擬音語か、それとも擬態語か?)があつて、榊原郁恵とか河合奈保子が、その言葉を体を張つて引受けてゐた。郁恵ちゃんの水着姿には、文字通り鼻血が出た。わたくしはおつとりしたをんなが数寄で、自己主張するをんなが今以てイヤである。わたくしが自己主張する人間だからではない。わたくしは自己主張なんかしないから、同類をこのんでゐるのである。
「イヤイヤ、そんなことないですよ。センセイは自己主張しまくつてゐるぢやないですか」といふ人があるが、浅墓である。わたくしは古来東西を問はず許されてゐる「文章」に自己主張を限定してゐる丈である。日本国憲法第19条を尊重してゐる、このわたくしを「床しい」人間だとわからぬ人とは会話したくない。
さいきん買物はBOOK OFFをこのんで利用してゐる。アメ公のゾぺスだかが経営してゐるAMAZONを利用するのが業腹だからである。クレジットカードナンバーを入力したくない。盗むサイトは幾らもある。AMAZONを信じていゝ理由も別段ない。手数料はかゝつてもいゝので、GMO Payment Gatewayで我慢してゐる。
中古はいやだと潔癖な人がいふことがあるが、中古でいゝのである。多少きたなくても、わたくしはそんなことに少しも頓着しない。「これも味だね」(by ハチワレ)と思ふ丈である(ちいかわの作者NAGANOは茶道を習つてゐる人と推察される)。中森明菜なぞ、ほんたうは嫌ひなのだが、わたくしは彼女の「少女A」だけは名曲と、このんでゐる。
ワタシはワタシよ、関係ないわ~ 特別ぢやない、どこにもゐるわ、ワタシ、少女A
診療所のステレオに大音響でひゞかせたい。さう思つて、河原町OPAのBOOK OFFでCDを探してみたが、中山美穂のCDは山ほど残つてゐても、中森明菜のコォナァはいつもガラ空きなのである。蓋し人気が高いのであらう。
中森明菜に似てゐると思ふのは、百恵ちゃんである。わたくしは彼女を好かない。ピンと来ない歌手であつた。わたくしは天地真理もきらひで、麻丘めぐみが一等すきであつた。いしだあゆみも無論である。ふたりともほんわかしてゐて、醤油な感じがいゝのである。
山口百恵などは「あなたにィ、をんなの子のォ、イチバン大切なァ、モノォあげるわァ~」などと不埒ふらちな唄(「ひと夏のの体験」昭和49年6月)を歌唱して平気であつた。
…むろん、そんな筈はないので、そんな歌を中学生程度の女子に歌はせて、些も物議を醸さなかつた時代がをかしいのである。この曲をつけた都倉俊一などは、現代なら女共産主義者ども(所謂「フェミニスト」)から、社会的に抹殺されたことだらう。
しかし、山口百恵にもわたくしの認定する名曲がひとつあつて、それが「横須賀ストーリー」である。百恵ちゃんの歌手人生はこの曲で一転して、歌手としての「主体性」を恢復したといふことだ。
今日もわたしは、波のやうに、抱かれるのでせう~ こゝは横須賀ァ
曲と詞を提供したのは宇崎竜童と阿木燿子の夫妻で、しかし、宇崎竜童は、わたくしにとつては、ガラの悪いダウンタウンブギウギバンド(「アンタ、あの娘の何なのさ?」)で黒メガネをかけてゐるツッパリの気弱な男でしかない。黒メガネといへば、最高だつたのが、フィンガーファイブの「アキラ」で、当時小学校の児童であつたわたくしに「アキラ」はまぶしすぎた。
それ以外の黒メガネ男は、まつたく信用できない。人前でじぶんのツラを曝せない男がなんぼのものか。そのひとことに尽きる。タモリは目が悪いからといふが、ウソつけ。わたくしは信じてゐない。タモリが最初にTVに出てきた頃を知つてゐる人なら、全員うなづくことだらう。タモリなぞの芸人ふぜい、たかゞ早稲田ごときを卒業してインテリづらをし、それを受け入れてゐる日本のNHKずき民衆も大きらひである。このアホめらが。たいがいにせえよ。
サテ、中森明菜の少女Aといひ、山口百恵の横須賀ストーリーといふ、このふたつが名曲なのは、バックバンドの演奏のすばらしさゆゑなのである。エレキギターが暴れ回つてゐながら(横須賀ストーリーでは掛合のサキソフォーンが最高)、完璧である。アイドルの脇が甘くならぬやう、鉄壁の守りで、ガードしてゐる。
ジャリタレとは知りながら、じぶんの仕事はチャントする「昭和のぬくもり」と厳しさ、すなはち、プロ根性がある。わたくしはそこに痺れてゐる。子門真人しもんまさとの仕事にも共通するものを感じる。いゝ歳をしたをとこが「地球は、ひ、と、つ!」(ガッチャマン)とか唄へるかよ。
アホクサ! と思ひつゝ、しごとはする。それが男道だよ、おっかさん(by 島倉千代子)。
皆さん、ワカリル?
注記 こゝで書いた話は、ふだん診療所でわたくしが患者さん相手にしてゐるいつもの話。「あゝ、センセイ、また同じ話したはるわ~」てなとこですかね。






