われながら

われながら、ふしぎに思ふことは、歳をへて、俳句や歌がよめる様になつたことです。まことに以て信じがたいことですが、めでたくもうれしきことといふべきでせう。

それなりに年もへた立派なおとなが、歌や俳句のひとつも、よめないのは、恥ぢ入るべきことといへませうから。山本夏彦翁が折に触れ「我にはゆるせ敷島の道」と論陣を張つたのが懐かしく思ひだされます。

この一年、このブログで私がおりおりに詠んできた、つたないかぎりの和歌と俳句をならべてみます。私の号の「明以」は、名前の一字を取つたもの。角倉了以、玄以通り、細木香以などからヒントを得てゐます。

平成28年春

花ぐもり 雨にうたれて 散る花の 川に流れて また結びけるかも

雨ふりて 道にちり敷く さくら花 川に流れて 筏(いかだ)をぞなす

平成29年

柳桜(りゅうおう)の 目にやはらかき 鴨川に 春はまた満ち あふれたるかも

かみなりを 肴にごろり ひとり酒

祇園祭 山鉾鑑賞の夜

見上げては 指をからめる 後祭 

登校児童のひかる目をみて

野分過ぐ 明けても余韻 さめやらず

南天を 残して白き 雪の朝

なか京にて

行年を ひとり静に 送りけり

ふみとりて こころを澄ます 年の暮

そら澄みて まち静なり 日向ぼこ

花ばさみ 男が買ひたる 師走哉

文明開化百五十周年の正月に

わが庵を 淑気で満たす 着物哉 

きよらかに ほほえみゐたり 雪中花

すゑひろに 初茶かをりぬ 四畳半

雨音を ついばむ朝や もも千鳥

恐竜が 睨む鵜の目や 高野川

半世紀 年月去りぬ いつかしら 草花愛づる 吾となりしも

そして、けふ、ひねつてみたのが、つぎの和歌。だいだいと青と白で、あやしくもはかなげなる情趣を醸す、シャガの花を詠んでみました。胡蝶花ともいふさうですが、まことその名にふさはしい幽玄ぶり。八瀬にはまだいくつも咲き誇つてゐますが、まちなかに持つてくると、たちまちにしぼんでしまふのが、惜しいところです。土台、湿度からしてちがふのでせうね。

蝶のごと わが裏山に 咲きそめし 射干ぞいかなる 夢まどろめる  明以

 

 

 

 

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