いつか知ら

京都市内は、日々、激しい砲爆を受けているのですよ、とこぼして、これがわかる人と、わからない人とに分かれています。

ある日突然、それまであったゆかしい建物の一画が、跡形もなく、地上から姿を消してしまいます。

これまで、幾多の人が、「ああ、また大店(おおだな)が沈んだ」と嘆き哀しんで来たのでしょう。その数を知りません。

京都のふるき街並みは、日々静かに失われています。

世の中はつねに移り変っていくもの。それを堰き止める力が吾になければ、やんぬるかな、しかたがありません。

私は哀しまない様にしています。

衆寡敵せず。

じぶんに能うかぎりで抵抗したいとは思いますが、分を超えて慨嘆しようとは思いません。むしろ、ちからもないのに、分を超えて慨嘆し、他を難じるおおげさな連中を憎みます。

いつか、人間がおろかにも滅んだあかつきには、草花が、つまらない建物ばかり立つ都心をおおい尽くすだろうという「暗い希望」をもって、通勤のごと、路傍の草花に目をやっています。

半世紀 年月さりぬ いつかしら 草花愛づる 吾となりしも   明以

 

 

 

 

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