いつか知ら

京都市内は、日々、激しい砲爆を受けているのですよ、とこぼして、これがわかる人と、わからない人とに分かれています。

ある日突然、それまであったゆかしい建物の一画が、跡形もなく、地上から姿を消してしまいます。

これまで、幾多の人が、「ああ、また大店(おおだな)が沈んだ」と嘆き哀しんで来たのでしょう。その数を知りません。

京都のふるき街並みは、日々静かに失われています。

世の中はつねに移り変っていくもの。それを堰き止める力が吾になければ、やんぬるかな、しかたがありません。

私は哀しまない様にしています。

衆寡敵せず。

じぶんに能うかぎりで抵抗したいとは思いますが、分を超えて慨嘆しようとは思いません。むしろ、ちからもないのに、分を超えて慨嘆し、他を難じるおおげさな連中を憎みます。

いつか、人間がおろかにも滅んだあかつきには、草花が、つまらない建物ばかり立つ都心をおおい尽くすだろうという「暗い希望」をもって、通勤のごと、路傍の草花に目をやっています。

半世紀 年月さりぬ いつかしら 草花愛づる 吾となりしも   明以

 

 

 

 

関連記事

  1. 修伯にて

  2. 目には青葉

  3. 私の好きな建物

  4. 俳句を少々

  5. 8000人!

  6. ヨキ風ノ吹ク

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

このサイトについて

京都市中京区蛸薬師 四条烏丸駅・烏丸御池駅近くにある心療内科・精神科クリニック「としかわ心の診療所」ウェブサイト。日本は孤独社会ゆえ、誰に話すこともできない人のため息が、昔から、世を覆っています。聞きましょう。医者の私で良かったら。心地よいお席をご用意して、お待ちしております。
2018年9月
« 8月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

カテゴリー